ZEH(ゼッチ)住宅とは?普及が進められている理由と認定基準を解説!

 住宅購入の際、どんな補助金が使えるのかを調べていると、「ZEH住宅」や「長期優良住宅」など、環境にやさしい住宅に対する補助金を頻繁に目にするのではないでしょうか。しかし、詳しい内容や認定基準の違いについて詳細を確認してもよくわからないという方も多いことと思います。

 そこで今回は、ZEH住宅とは何か?ZEH住宅が導入された背景、ZEH住宅の認定基準などについて紹介していきますので、マイホームを検討している方はぜひご参考にしてください。

ZEH住宅とは?

 「ZEH」とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の頭文字をとったものです。一年間の生活で消費するエネルギー量の収支がゼロ以下となることを目指した住宅を指します。

 具体的には下記3つの要素を組み合わせ、消費エネルギーを削減する又は消費エネルギー以上にエネルギーを作り出すことが求められます。

① 高断熱・・・壁、屋根、窓などの断熱性能を高めて、冷暖房の効率をあげる

② 省エネ性能・・・省エネ効果に優れた住宅設備を導入してエネルギー消費量を20%以上削減する

③ 創エネルギー・・・太陽光発電や蓄電池など再生可能エネルギーを利用して自家発電を行う

ZEH導入の経緯

 2015年、COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会合)は、パリ協定として「地球温暖化防止施策として温室効果ガスの排出抑制に対する世界的な取組」を採択しました。

 この中で日本は「2030年に温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減する」ことを目標と設定し、日本国内のエネルギー消費の中で約14%を占める家庭での消費量を削減するため、住宅の省エネ化への取り組みを開始します。

 2021年10月「第6次エネルギー計画」では、2050年のカーボンニュートラル達成を踏まえて、「2030年に温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減する」ことが盛り込まれました。
 政府の目標として「2030年以降新築される住宅について、ZEH基準の水準とした省エネルギー性能の確保を目指す」「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」ことを設定し、さらなる普及に向けた取り組みが進められています。

ZEH住宅の基準とは?

 ZEH住宅の認定基準は4点あります。それぞれについて解説します。

① 強化外皮基準(*1)を満たしていること

 ZEHでは地域ごとに基準となるUA値(*2)が定められており、基準値以下に抑えることが求められ、寒冷地ほど高い断熱性能が必要とされています。

出典:国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等を定める件地域区分新旧表」を参考に筆者が作成

(*1)建物の壁、断熱材などを含めた外皮の断熱性能を判断する基準
(*2)住宅全体の熱の逃げやすさを示す数値。小さいほど断熱性に優れる

②  基準一次エネルギー消費量(*3)を20%以上削減すること

 家庭内で使用するエネルギー消費量を20%以上削減することが必要です。
 具体的には、建物の断熱性能を上げて冷暖房効率を向上させる、省エネ機能を備えた給湯設備を利用する、LED照明を導入するなどの方法があります。

(*3)住宅設備が1年間に使うエネルギー消費量を示す数値。建築地域、設備の種類ごとに決められた数値を元に算出される

③  再生可能エネルギーを導入すること

 発電システムを搭載するなど再生可能エネルギーを利用して「エネルギーを創り出す」ことが太陽光必要です。地熱発電や風力発電も適用されますが、単体でZEH取得基準を満たすのは難しいことが一般的です。

④  上記①~③を合わせたエネルギー量が、基準一次エネルギー消費量を上回ること

「創エネルギー」が難しい地域でのZEH

 太陽光発電は立地条件によって発電効率が大きく異なり、建築地によっては十分な発電量を見込むことが難しいケースもあります。建築場所の気候風土や立地条件によって、認定基準を緩和した2種類のZEHの認定を受けることができます。

 ◎ZEH Oriented・・・建築地が都市部の狭小地かつ北側斜線制限の対象となる地域又は垂直積雪量が100cm以上となる多雪地域の場合、太陽光発電システムや蓄電池の設置など「③再生可能エネルギーを導入すること」の要件が免除されます

Nearly ZEH・・・寒冷地(地域区分1または2地域)、低日射地域(日射区分A1またはA2地域)、多雪地域(積雪量が100cm以上)などの場合、「③再生可能エネルギーを導入すること」は満たす必要がありますが、「④基準一次エネルギー消費量削減率」が75%以上100%未満に緩和されます

 ちなみに、「長期優良住宅」と「ZEH」の違いについても触れておきます。
 長期優良住宅は、これまでのスクラップ&ビルドのサイクルを脱却し、「いいものを作って、きちんと手入れをしながら長期間大切に使い続ける」ストック活用型のサイクルへ転換させることを目的とした住宅です。

 どちらも地球環境に配慮した住宅ですが、ZEHはエネルギー収支に重点を置いており、長期優良住宅は長く快適に暮らせる性能に特化している点が異なります。

まとめ

 地球環境にやさしい家であるZEH住宅は、そこで暮らす家族にもやさしい家を実現することが可能です。省エネルギーで快適に暮らせ、光熱費を削減でき、停電時でも電気が利用できる安心感などのメリットがあります。
 また、政府や自治体による補助金も充実しており、上手に利用することで建設費用を抑えることも可能です。ただし、募集期間が限られている補助金や、上限額に到達した場合、期間内であっても受付終了となる補助金もあるので注意が必要です。

 確実に補助金を利用するためには、早めに動き出して余裕を持ったスケジュールを組むことがおススメです。また、各種認定基準を満たし、他のお得な制度も併用可能となる高品質な住宅を建設できるハウスメーカーや工務店を見つけることも大切です。

 住まいづくりを検討されている方、ZEH住宅に興味をお持ちの方は、住宅のプロに相談してみませんか?併用できる制度のご案内、認定基準に沿った設計などお客様のニーズやご予算に応じた提案を受けられます。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

written by 唯木花奈


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