家族を熱中症リスクから守る!室内の理想的な温湿度を保つ家づくりのポイントとは?

 真夏日が続く季節は熱中症のリスクが高まり、屋外だけでなく自宅内での熱中症の発症が増加しているのが近年の実情です。特にお年寄りや小さなお子さんは体温調整機能が低いことに加え、家にいる時間が長いのでリスクが高まります。
 誰もが夏を健康的で快適に乗り切るには、室内の適切な温湿度管理やこまめな換気が重要です。この記事では、熱中症のリスクを効果的に低減させるための室内環境づくりのポイントについて解説します。

熱中症のリスクを低減する適切な温湿度とは?

 熱中症は、高温多湿な環境で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまくできなくなる症状を指します。重症化すると意識がもうろうとするなど、命に関わる危険な状態に陥るケースもあるため注意が必要です。
 こうした熱中症による救急搬送数は、2023年の5月から9月で約9万人にも上りました。そのうち約4割が自宅での発症で、主な原因は、室温や湿度が適切に保たれていないことであると考えられています。
 住宅内での熱中症発症のリスクを下げる適切な室温・湿度は、環境省が設定した「室温度28度以下、湿度70%以下」の維持が目安になります。

地球温暖化による気温上昇の影響

 2024年の夏は、地球温暖化やエルニーニョ現象等の影響で気温が上昇することが予想されます。気象庁の予報(6月~8月)によれば、全国的に気温が高く「猛暑」となる可能性が高いようです。
 また、地球温暖化の影響は今年の夏に限った話ではありません。日本の平均気温は、1898〜2008年の間に約1.11℃上昇していることが観測されています。2050年頃には世界の平均気温は1.9~3℃上昇するとの予測もあり、各ご家庭における暑さ対策は今年の夏に限ったものではなく、中長期的なものとして考えることが重要です。

住まいの断熱性能の向上を図る

 夏場の暑さを防ぎ、室内の適切な温湿度を保つには、まず建物全体の断熱性能を高めることが重要です。断熱リフォームは外からの熱の侵入を抑えられるだけでなく、冷えた空気が逃げづらくなるため、冷房効率が上がり、涼しさを保ちやすくなります。無駄なエネルギーを使わないため、環境にも優しく光熱費の削減も期待できるでしょう。
 特に熱の入口となりやすい窓、外壁、屋根について適切な断熱対策を実施すれば、室内への熱の進入を最小限に抑えられ、理想的な室内環境を保つことができます。

 具体的な方法としては、以下に挙げたものが効果的です。

1.窓を断熱リフォームする

 通常のガラスから複層ガラス窓に交換すると、室内への熱の流入が5割から7割程度カットできます。複層ガラス窓は、ガラスとガラスの間に空気層があり、それが熱の通り道を遮る働きをします。また、室内側に内窓を重ねて設置する方法も同様の効果が期待できるでしょう。

内窓(弊社施工事例)
内窓(弊社施工事例)

2.外気の熱を伝える部分の断熱材を交換・増設する

 天井や壁の断熱材は、外からの熱を室内に伝わりにくくする働きがあります。劣化した断熱材を交換する、新たに断熱材を追加するなどを行うことで、室内に熱が入り込むのを抑えることができます。

3.屋根・外壁を断熱リフォームする

 屋根・外壁にあたる日射も室内が暑くなる大きな要因です。遮熱塗料を塗ったり、通気層を設けたりすれば、屋根や壁面から室内に伝わる熱を減らすことができます。

通風の確保

 暑さ対策には室温管理だけでなく、風の通り道を確保することも重要です。換気を良くすれば、室内に溜まった熱気やこもった湿気を外に逃がすことができます。
 まずは、現状の間取りや窓や開口部の位置、建物周りの風向きを確認して、効果的な通風方向を検討しましょう。
  リフォームを検討する場合は、窓の位置関係や窓の高低差など、風の流れを考慮すると効果的です。

日射を防ぐ

 室内温度を快適に保つには、窓から入り込む日射を防ぐのも大きなポイントです。日差しを防ぐことで、直接的な熱さを防ぐだけでなく、床や壁、家具などに吸収された熱が冷房効率を低下させるといったことも防ぐことができるでしょう。

 強い日差しを遮る方法には以下のようなものがあります。

1.窓の外側にひさしやオーニングを設置する

 窓の外側上部にひさしを設けると高い位置からの日射を防ぐことができます。オーニングであれば、時間帯によって角度を調節することができるので、日差しの入り方に合わせて調整することができます。

2.窓の内側にブラインドを設置する

 ブラインドは、自然光を取り入れつつ熱の侵入を防止することができます。遮熱機能のついたアルミ製のブラインドや熱を伝えづらい木製のブラインド、六角形を組み合わせたハニカム形状のブラインドなど種類も豊富なため、機能性やインテリアイメージに合わせて選ぶことができます。

3.遮熱カーテンや遮熱フィルムを使用する

 遮光性の高いカーテンを取り付ける、窓ガラスに遮熱フィルムを貼るといった方法も、室内に差し込む日射をカットするための有効な手段です。断熱性能の高い窓やブラインドと併用することで、室内の温度上昇を抑える効果をさらに高めることができます。

まとめ

 夏でも快適で健康的な住まいの実現には、室内に熱を入れない工夫や室内に溜まった熱や湿気を外に出す対策が欠かせません。そのためには建物の断熱性や通気性を高め、日射を防ぐことが有効な手段となります。
 しかし、立地環境や方角、建物の間取りや家具配置など、それぞれの住宅によって条件が大きく異なります。そのため、最も効果的な暑さ対策を検討するのであれば、専門家へ相談することをおすすめします。現状どのように風が通っているか、また、一日を通して室内にどのように日差しが差し込むかなど、さまざまな視点からのアドバイスを受けることができます。費用対効果なども考慮しつつ、最適な形で室内での熱中症リスクの低減を実現することができるはずです。

なお、今回ご紹介したリフォームの中には、補助金を利用することができるものもあります。環境省が実施している「先進的窓リノベ2024事業」は、既存住宅を対象として、内窓の設置や窓ガラスの交換に対して最大200万円の補助金が支給されます。上限額に達した時点で受付終了となりますので、検討されている方はお早めにご相談されることをおすすめします。補助金については、以下のリンク先の記事で詳しくご紹介しています。

◎住宅省エネ2024キャンペーンの詳細が決定!補助金活用のポイントを解説します

written by 唯木 花奈


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