近年、日本各地で異常気象による被害が増えており、住まいの防災対策への関心が高まっています。
とりわけ、災害に強い「防災性」、被災しても被害を最小限で抑える「減災性」、災害後の高い「復旧力」といった住まいのレジリエンスが注目されています。レジリエンスとは災害による外的変化への抵抗力、対応力、回復力を意味する言葉です。日常生活はもちろんのこと、被災時においても家族が安全で快適に暮らせる家づくりの需要が増加しています。
そこで今回は、災害に備えるためリフォームアイデアをご紹介します。併せて、政府や自治体が行っているリフォームの補助金についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
防災・減災性を高める家づくりのポイント
1.「耐震補強リフォーム」で安心感を高める
耐震補強リフォームは、柱や梁を金具で補強する、傷みや劣化のある部分を耐久性の高い建材に交換するといった方法で、震災時の建物の傾きや倒壊を防ぐことを目的としたものです。
これにより防災性はもちろんのこと、安全に脱出する時間を確保することもできます。また、揺れを抑えることにもつながるため、心理的な安心にもつながります。
耐震補強リフォームで壁を補強する場合は、断熱性能の高い建材にすることで、室内が外気温に左右されにくくなります。空調設備が使用できない状況でも、暑さや寒さによる健康被害の可能性を減少させることができるでしょう。
2.「窓シャッター」「防災安全合わせガラス」で窓の破損を防止する
ガラスが割れると破片によって怪我をしてしまう、破損部分から室内へ雨風が吹き込み室内の被害が広がってしまう可能性もあります。窓シャッターの設置によって、台風や竜巻などの強風時に飛来物から窓ガラスを守ることができます。また、窓シャッターは水密性が高いため、洪水時の窓の隙間からの水の侵入を防ぐこともできます。
窓シャッターの設置が難しい場合は、防災安全合わせガラスを検討されると良いでしょう。これは、2枚のガラスの間に厚みのある樹脂を挟んで圧着したもので耐貫通性に優れており、万が一破損しても、割れたガラスが飛散しづらいという特徴があります。二次被害を防ぐことで、被災後の復旧作業も安全かつスムーズに行うことができるようになります。
これらの窓リフォームは防災・減災はもちろんのこと、断熱性能や防犯効果の向上も期待できるため、日常生活の快適さや安全性を高めることにもつながります。
復旧力を高める家づくりのポイント
1.「貯湯タンク付きの家庭用給湯設備」で生活用水を確保する
家庭用給湯設備の一つであるエコキュートは、沸かしたお湯を貯湯タンクに貯める仕組みです。この貯湯タンク内のお湯を、災害時には生活用水として利用できます。4人家族で使用する370~460㍑のエコキュートであれば、3~4日分の生活用水を確保できるでしょう。
停電時は、沸かしてあるお湯をそのままシャワーや水栓から利用することができます。貯湯タンクは、魔法瓶のような構造になっているので、一定期間であればお湯を使うことができます。
2.「太陽光発電と家庭用蓄電池の導入」で電力を確保する
太陽光発電システムと家庭用蓄電池は、電力供給が止まった場合でも、太陽光を利用して自宅で発電し、その電力を蓄電池に蓄えることが可能です。災害時でも家電や照明が使えることはもちろんのこと、テレビやスマートフォンから情報を収集することもできるため、災害時の不安感を軽減することができるでしょう。
なお、太陽光発電システムのみの場合は蓄電ができず荒天時や夜間は電気が使えません。蓄電池のみの場合は、非常用電源として使えますが事前に充電していた電力しか利用できないため、両者を組み合わせることで長期間の停電への対策とすることができます。
3.被害を最小化する間取りの工夫
設備面だけでなく、お住まいの地域のリスクに合わせた家づくりも重要です。例えば、水害のリスクが高い地域では、リビングや備蓄物の収納場所を2階に配置して、浸水があった場合でも最低限の生活ができるといった間取りの工夫が考えられます。
家の中で最も災害リスクの低い部屋を「レジリエンスルーム」としてリフォームし、災害時の安全を確保しつつ在宅避難の長期化に備え、生活用品や防災グッズをレジリエンスルームに準備しておくと安心です。
ちなみに、防災グッズはどこに収納していますか?防災グッズは、いざという時に直ぐに取り出せる場所に収納することが大切です。ご家族の皆さんが把握しやすい場所で、かつ低い場所に収納することをおすすめします。高い場所にあると、荷下ろしの際に体に負担がかかりますし、地震で落下し中身が破損する可能性もあります。
リフォームをご検討されていない場合でも、防災グッズを避難口となりやすい玄関、家族が集まりやすいリビングなどに収納しておくと、安全かつ素早い避難につながりやすいでしょう。
政府・自治体による補助金を活用しよう!
今回ご紹介した設備のうち窓や蓄電池などは、商品代や施工費用の一部に補助金が支給されるケースがあります。また、レジリエンスにもつながる省エネリフォームの補助金もありますので、詳細につきましては、以下のリンク先の記事を併せてご覧ください。
◎「住宅省エネ2024キャンペーン」でお得に!省エネリフォーム
また、お住まいの自治体によっては、耐震を目的としたリフォームへの補助金制度を設けている場合もあります。国と自治体の補助金を併用できるケースもありますので、ぜひご検討ください。
◎小田急線沿線の自治体によるお得なリフォーム支援制度をご紹介します!
まとめ
今回は防災・減災リフォームについてご紹介しました。お住まいの築年数や現状況、居住地域などによって必要なリフォームは様々ですので、リフォームをご検討の際は専門家に相談することをおすすめします。地域ごとの災害リスクに加え国や自治体の補助金など考慮したうえで、ご予算やご家族のニーズに合った家づくりの総合的な提案を受けることができるはずです。この機会にぜひ、日常生活の快適性向上と併せて、災害に備えた家づくりを検討してみてください。
written by 唯木 花奈